【フォトドローイング】「寄り道」(物語バージョン)

フォトドローイング
寄り道

チャイムが鳴った。

 

数種類の蛍光色のマーカーが走った教科書を

カバンの中に入れていると

「帰ろー」と友達が私の机まで迎えに来る。

 

家の方向が同じで、帰宅部の二人は

すぐに靴に履き替えて校門をくぐる。

 

帰っているときは

大抵友達の彼氏の愚痴か惚気が大半を占める。

正直同じような話が多いので、

半分は聞いていないけど、少し羨ましく思う。

 

いつものY字路まで来ると

「また明日ね」と言って、

イヤホンをつけた。

 

友達の話し声の代わりに

好きな歌で寂しさを紛らわす。

 

しかし、家の目の前で、足が止まる。

 

最近家族とは話が合わないし

なにかと口うるさく言ってくる。

 

思い出すだけでも、

イライラしてしまう気持ちを整理しようと思い、

家から少し離れた砂浜に向かうことにした。

 

ここは誰もこない、一人になれる場所。

余計な音はなく自然の波の音だけ。

 

沈んでいく夕日を見ながら深呼吸をして、

近くに転がっていた大きな流木に腰掛けたときに

 

「ピコン」

 

「何時に帰ってくるの?」

 

「もうすぐ」

 

と返して

今度は深呼吸ではなく、ため息が出た。

 

盆栽。

寄り道

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