20万のコートと20万のノートパソコン

物語

この物語は

イソップ物語の「田舎のねずみと都会のねずみ」を

モデルに書きました。

人それぞれの持つ価値観という持ち物。

どう持ち物どうつかう?

 

20万のコートと20万のノートパソコン

 

ある日、僕は町に出かけていた。

一つの大事な用事を遂行するために。

田舎暮らしでなかなか町まで出るのに時間がかかる。

電車とバスを乗り継ぎ、3時間かけて町へ出てきた。

高いビルがたくさん並んでいて、僕を何十メートルも上から見下ろしてきた。

それに応えるように思わず見上げてしまった、、

しまった!ビルを見上げるのは田舎者の証拠だと

東京に行ってしまった兄が言っていたのに。

 

でも分かりながらも、最近買い換えたiPhone8の小さいカメラで

ぱしゃっと収めた。

しばらく周りの景色に圧倒されていたが、

やっと大事な用事を思い出した。

僕はその戦いの舞台へ向かう。

 

しばらく歩いていると外観が見えてきた。

胸の高鳴りを抑えているつもりだったが、僕の足は

正直なようで、知らない間に早足になっていた。

店の目の前についた。

ワクワクしながら入ると、

まばゆい光と4Kと書いたテレビが出迎えてくれた。

僕にはもったいないスポットライトなので

足早にその場を去り、目的の場所へ急ぐ。

 

案内板を見ると、4Fと書いてある。

エレベーターで向かえば早いものをわざわざエスカレーターを

使用した。いかにも余裕のある顔を作りながら。

 

4Fに到着した。

そこはリンゴマークのブース

Apple store だ。

最新のiPhoneやiPadをたくさん置いてある。

どれも煌びやかでかっこよかった。

そして本日の大本命。

MacBookの目の前まで来た。

キーボードを押してみる。

すごく平たい。自分の家にあるパソコンのキーボードは

サイコロが付いているかのような大きさ。

本当に押せているのか心配してしまう。

夢中になっていると後ろから店員が話しかけてくれていることに

気づかなかった。

「気になる商品ございましたらいつでもお声がけください」

そう言われると、話しかけづらくなるのは

僕だけだろうかと心の中で呟いていた。

 

そして、全商品を触り終えたところで

店員さんにこれをくださいと伝えた。

MacBook。

すごく薄いパソコン、軽くて、なんともかっこいい。

色々手続きを終え、最後に

「えーでは、すべて合わせてお値段が20万円でございます」

僕は驚かない。

ちゃんと下調べはしてある。

でも、その金額は簡単には手に入らないのは

わかっていた。

でもこの日のために毎月貯金してきた小さなお金。

途中、ゲームに手を伸ばしそうになったこともある。

必死に我慢した。

なぜなら、MacBookを買うためだ。

この高機能パソコンを買っておしゃれなカフェで

仕事をしているみたいにYouTubeを見るんだ。

 

店員さんに努力の結晶の20万円を託した。

もう帰ってこない20万円。

でもその代わりにかっこいいMacBookが手に入る。

そして奥から店員さんがMacBookを持ってきた。

しっかり受け取った。

思わず、にやけてしまいそうになる

頬を内側から噛んだ。

そして、余裕の顔を作り、Apple Storeをでた。

 

嬉しさのあまり身体が宙に浮く。

もうここで開けてしまおうかと思ったが

家でじっくり開けたい。

薄いフィルムでさえゆっくり剥がしたい。

 

でもここから3時間もかかる。

そんな自分の中で葛藤していると

親友の宏に会った。

「よう!何してんの!」

宏もいつもよりテンションが高い。

「いやー高い買い物をしてしまったんだよ」

僕は自慢げに答えた。

「えー!奇遇だな!俺もだよ!

見てこの服かっこいいだろ!」

「うん、大人っぽいなどこで買ったの?」

「あの有名ブランドだよ〜」

宏はすごく上機嫌で実際宙に浮いていた。

そして、「何円?」を聞いて欲しげな顔をしていたので

聞いてみた。

「宏の買い物何円したの?」

「20万!!!」

「お前は?」

「僕も20万のノートパソコン。」

お互い同じ金額を使っていた。

でも買ったものは違う。

そして、宏は言った。

「20万のノートパソコンなんて絶対買わねえな」

そして僕も宏に言った。

「20万のコートなんて絶対買わないな」

 

 

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